静かな帳簿 第5話:監査記録として残します

「監査記録として残します」

真央のメールは、その一文で終わっていた。

栗原(くりはら)は返信しなかった。森脇は返信した。「大げさにしないでください」

大げさという言葉は便利だ。被害を小さく見せ、確認を面倒に見せ、声を上げた人だけを厄介者にする。

真央は森脇の返信を保存した。

菜々は、自分で作った提出時刻のメモを添付した。震えた文字ではない。短く、正確な文章だった。

日下部から電話が来た。「栗原が動いた。過去の資料を消し始めている」

真央は言った。「消すなら、消した記録が残ります」

3年前、真央はそれを知らなかった。正しい数字だけで勝てると思っていた。

今は違う。数字だけではなく、数字を消そうとした手も記録する。

翌朝、栗原から短い返信が届いた。

「面談しましょう」

真央は画面を見て、静かに予定表を開いた。面談は、相手が逃げる部屋ではない。録音と議事録の始まりだ。

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静かな帳簿

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このシリーズの全話 14編
  1. 第1話:謝罪文の下書き
  2. 第2話:領収書を破った人
  3. 第3話:赤字の会議室
  4. 第4話:確認済みという嘘
  5. 第5話:監査記録として残します
  6. 第6話:録音される沈黙
  7. 第7話:消された更新履歴
  8. 第8話:栗原の署名
  9. 第9話:数字は空気を読まない
  10. 第10話:守られた証言者
  11. 第11話:退職者の社員番号
  12. 第12話:入社前の承認
  13. 第13話:2人目の告発者
  14. 最終話:静かな決算説明会
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この記事を書いた人

NEW MYTH編集室は、AIと共同で未来構想と物語連載をつくるための筆名です。長期連載ではシリーズごとに人物関係、伏線、未回収の謎を記録し、読者が続きを追える構成を重視しています。Future Visionsでは、AIの使い方そのものではなく、AIによって暮らしや仕事、家族、創作の選択肢がどう広がるかを扱います。

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