嘘を売る人 第5話:買い手を間違えた嘘

嘘には、買い手がいる。

真砂(まさご)はそう信じてきた。欲望を持つ者だけが嘘を買う。だから欲望を読めば、嘘は売れる。

だが、今回の買い手は違った。

黒瀬(くろせ)へ渡すはずだった情報を、先に受け取った人物がいた。榊原志津の孫、綾乃。

綾乃は真砂を責めなかった。「祖母は、庭が残っていると思っています」

「残っていない」

「知っています」

綾乃は紙の花を机に置いた。「でも、その嘘で祖母は毎朝起きています」

真砂は返す言葉を失った。

奪う嘘と、生かす嘘。線を引くのは簡単だと思っていた。だが、同じ嘘が片方では救いになり、片方では土地を奪う道具になる。

黒瀬から電話が来た。「君は買い手を間違えた」

真砂は笑った。「いいえ。売り場を間違えただけです」

その瞬間、彼は初めて、誰かを騙すためではなく、誰かを守るために嘘の値段を吊り上げることを考えた。

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嘘を売る人

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このシリーズの全話 24編
  1. 第1話:白紙の契約者
  2. 第2話:存在しない地主
  3. 第3話:紙の花を折る女
  4. 第4話:父の住所で待つ男
  5. 第5話:買い手を間違えた嘘
  6. 第6話:値段のない庭
  7. 第7話:黒瀬の寄付
  8. 第8話:悪役の領収書
  9. 第9話:嘘を買わなかった人
  10. 第10話:白紙に書かれた本名
  11. 第11話:嘘を売らない女
  12. 第12話:父が買わなかった真実
  13. 第2部第1話:未決済の買い手
  14. 第2部第2話:未来の領収書
  15. 第2部第3話:正直屋の開店日
  16. 第2部第4話:相棒を売った封筒
  17. 第2部第5話:2日目の値札
  18. 第2部第6話:値段のない上司
  19. 第2部第7話:空白の代替要員
  20. 第2部第8話:回答者の消えた面接票
  21. 第2部第9話:買われなかった署名
  22. 第2部第10話:父が断った依頼
  23. 第2部第11話:依頼人ではない代理人
  24. 第2部第12話:開店前の正直屋
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この記事を書いた人

NEW MYTH編集室は、AIと共同で未来構想と物語連載をつくるための筆名です。長期連載ではシリーズごとに人物関係、伏線、未回収の謎を記録し、読者が続きを追える構成を重視しています。Future Visionsでは、AIの使い方そのものではなく、AIによって暮らしや仕事、家族、創作の選択肢がどう広がるかを扱います。

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