顔のない子どもは、写真の中で遼の隣に座っていた。
兄は笑っている。遼(りょう)も笑っている。だが、その子だけ顔が白く塗りつぶされている。
母は写真を見て言った。「この子、誰だったかしら」
忘れているのではない。覚えたことがない記憶を、思い出そうとしている顔だった。
遼は焦げた箸を写真の上に置いた。すると、白い顔の中に口だけが浮かんだ。
「疑わないで」
声は聞こえなかった。けれど文字が写真の裏に滲んだ。
透明町にいるのは、消えた人だけではない。最初から誰にも数えられなかった人もいる。
兄からメッセージが届いた。「そいつを3つ目にするな」
遼は返信した。「じゃあ、何にすればいい」
答えはすぐ来た。「客にしろ」
その夜、遼は食卓にもう1つ茶碗を置いた。疑うためではない。招くために。
茶碗の中に、焦げた米粒が1つ落ちた。
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透明な街の解き方
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