封筒を開けたのは、律だった。
周は止めなかった。私は止められなかった。灯里(あかり)の字は、思っていたより小さく、迷いのない線で並んでいた。
「写真の中で笑っていた人を信じないで」
一行目は、以前届いた警告と同じだった。けれど二行目で、意味が変わった。
「いちばん嘘をついていたのは、泣いていた人ではなく、笑っていた私です」
律は読み上げるのをやめた。私のほうを見ない。周もまた、テーブルの木目だけを見ている。
灯里は続けていた。あの日、水曜日の海に4人を集めたのは自分だと。私と律を戻すためではなく、私が誰を選ばなかったのかを確かめるためだったと。
「四人目の恋人は、人数のことではありません」
律の指が震えた。
「誰かの恋人でいられなかった時間の名前です」
私は、その言葉でようやく思い出した。あの日、私は好きだったと言った。相手は律ではなかった。周でもなかった。
灯里だった。
けれど記憶はそこで切れる。灯里が笑ったのか、泣いたのか、私はまだ思い出せない。
店の鏡の中で、写真には写っていない4つ目の椅子だけが、こちらを向いていた。
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四人目の恋人
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