四人目の恋人 第4話:笑っていた人を信じないで

封筒を開けたのは、律だった。

周は止めなかった。私は止められなかった。灯里(あかり)の字は、思っていたより小さく、迷いのない線で並んでいた。

「写真の中で笑っていた人を信じないで」

一行目は、以前届いた警告と同じだった。けれど二行目で、意味が変わった。

「いちばん嘘をついていたのは、泣いていた人ではなく、笑っていた私です」

律は読み上げるのをやめた。私のほうを見ない。周もまた、テーブルの木目だけを見ている。

灯里は続けていた。あの日、水曜日の海に4人を集めたのは自分だと。私と律を戻すためではなく、私が誰を選ばなかったのかを確かめるためだったと。

「四人目の恋人は、人数のことではありません」

律の指が震えた。

「誰かの恋人でいられなかった時間の名前です」

私は、その言葉でようやく思い出した。あの日、私は好きだったと言った。相手は律ではなかった。周でもなかった。

灯里だった。

けれど記憶はそこで切れる。灯里が笑ったのか、泣いたのか、私はまだ思い出せない。

店の鏡の中で、写真には写っていない4つ目の椅子だけが、こちらを向いていた。

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四人目の恋人

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このシリーズの全話 16編
  1. 第1話:招待状は3通届いた
  2. 第2話:写真の中で笑っていた人
  3. 第3話:水曜日の海
  4. 第4話:笑っていた人を信じないで
  5. 第5話:親友だった人
  6. 第6話:来ないで、止めに来て
  7. 第7話:式場に先にいた人
  8. 第8話:祝辞を書いた人
  9. 第9話:花嫁のいない控室
  10. 第10話:誰も選ばなかった指輪
  11. 第11話:灯里が帰る場所
  12. 第12話:5人目への招待状
  13. 第13話:4人目ではなかった人
  14. 第14話:翌日の集合写真
  15. 第15話:シャッターを押した人
  16. 最終話:母に届かなかった写真
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この記事を書いた人

NEW MYTH編集室は、AIと共同で未来構想と物語連載をつくるための筆名です。長期連載ではシリーズごとに人物関係、伏線、未回収の謎を記録し、読者が続きを追える構成を重視しています。Future Visionsでは、AIの使い方そのものではなく、AIによって暮らしや仕事、家族、創作の選択肢がどう広がるかを扱います。

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